令和6年度発掘調査情報

根田遺跡ねだいせき

調査終了
調査期間
4月~11月
場所
南相馬市小高区小屋木字根田
該当時代
縄文時代 弥生時代 古墳時代
調査原因
農業基盤整備事業

  • 根田遺跡の発掘調査が終了しました。

4月からはじまった根田遺跡の発掘調査が1112日をもって終了しました。

 今回の発掘調査では、古墳時代の流路跡、弥生時代の集落跡、縄文時代の流路跡などを確認し、遺物では縄文土器・弥生土器・石器・土師器などが出土しました。

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 (写真1)根田遺跡の遠景

 縄文時代では流路跡を確認しました。調査区の南東部に位置し、大きく蛇行しながら調査区外へと続きます。流路内からは、多数の自然木がみられ、遺物では、縄文時代後期の土器がごく少量出土しています。

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(写真2)縄文時代後期の流路跡

 弥生時代では、住居跡、土坑、土器埋設遺構、溝跡、遺物包含層、柱穴とみられる小穴を確認しました。住居跡からは複数の柱穴と炉跡とみられる焼土面を確認しました。柱穴や遺物包含層などの分布をみると、調査区の西北部で多く確認されており、試掘確認調査の結果も考え合わせると、集落の中心は遺跡西側に位置する可能性があります。

出土遺物は弥生時代前期~中期中葉の土器と石庖丁や大陸系磨製石斧を始めとする石器が出土しました。特に弥生時代中期前葉の土器の出土量が多く、浜通り北部地域における貴重な資料群と考えられます。

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(写真3)弥生時代中期の住居跡

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(写真4)弥生時代の石器        

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(写真5)弥生土器の蓋

  

古墳時代では流路跡、溝跡、土坑を確認しました。流路跡の底面の立ち上がり付近からは、土師器の甕の体部上半が正位で据え置かれるように出土しており、水辺における祭祀行為をうかがわせます。

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(写真6)流路跡から出土した土師器の甕


5月20日の様子

根田遺跡の発掘調査が始まりました。根田遺跡は南相馬市小高区の小屋木地区に位置しており、すぐ北側に小高川が流れています。小高川を挟んだ北側には、国指定史跡横大道製鉄遺跡群が立地する飯崎丘陵を望むことができます。

5月20日から作業員による遺構の検出・精査を開始しました。作業は、移植ベラやスコップを使って手作業で地道に掘り下げていきます。

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写真1 発掘調査の様子

 土器や石器などの遺物が出土したら、遺物を傷つけないように丁寧に土を取り除いていきます。発掘作業の結果、弥生時代の土器や石器を含む土層から、完全な形の石庖丁が出土しました。石庖丁は、福島県浜通り地域北部で多くみつかっており、稲穂の先を摘む道具と考えられています。根田遺跡のある小屋木地区では弥生時代から稲作が行われていたのかも知れません。

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        写真2 出土した石庖丁