■企画展示案内■
<崖ノ上遺跡出土弥生土器>
東京大学総合研究博物館蔵<新地貝塚出土貝輪>
東京大学総合研究博物館蔵ふくしま里帰り展
「ふくしま考古学研究の春暁
−棚倉式土器の発見・新地貝塚の発掘−」
会期:平成24年10月6日(土)〜12月2日(日)
会場:まほろん特別展示室(入場無料)
ふくしま里帰り展は、県内の遺跡から出土した資料で、県外機関等に所蔵されていて、普段見る機会のない資料を、里帰りさせる企画です。
県外機関所蔵の資料の多くは、戦前の考古学研究の黎明(れいめい)期に発見・調査されたものです。今回展示する、東京大学総合研究博物館所蔵の東白川郡棚倉(たなぐら)町崖(がけ)ノ上(うえ)遺跡の弥生土器は、明治21年に東北地方で最初に見つかった弥生土器で、後に棚倉式(たなぐらしき)と呼ばれ、古くから学会に知られることになった資料です。また、この資料と併せて、県内機関所蔵の棚倉式(たなぐらしき)土器も展示します。ひょうたんの形をした特徴的な土器や福島県指定重要文化財もあり、見ごたえ十分です。
さらに、この棚倉式(たなぐらしき)土器の発見やそれに関わった人々の研究についても焦点をあてます。棚倉藩(たなぐらはん)最後の藩主、阿部正功(あべまさこと)が作成した崖(がけ)ノ上(うえ)遺跡の見取り図や弥生土器の拓本(たくほん)(学習院大学史料館所蔵)、そして、静岡県登呂(とろ)遺跡や群馬県岩宿(いわじゅく)遺跡の調査等で著名な杉原荘介(すぎはらそうすけ)が、昭和14年に崖(がけ)ノ上(うえ)遺跡を発掘した際に出土した遺物や調査記録(明治大学博物館所蔵)などの貴重な資料を展示します。
また、大正13年に福島県が初めて主催し、東京帝国大学(現:東京大学)に依頼して調査した相馬郡新地(しんち)町新地貝塚(しんちかいづか)の出土遺物(縄文土器・角骨器(こっかくき)・貝輪(かいわ)など)や近年再発見された当時の調査記録を展示し、全国に先駆けて地元行政が主体的に実施した調査成果を明らかにします。
福島県の黎明(れいめい)期の考古学を彩る貴重な資料をご覧ください。
<水を撒きながら遺構検出> <会津大塚山古墳の見学> 教職員発掘調査体験研修
夏真っ盛りの8月1日(水)〜3日(金)、当事業団遺跡調査部の協力を得て、会津若松市西木流(にしきながし)C遺跡で「教職員発掘調査体験研修」を実施しました。この研修は、発掘調査の実体験を通して教職員の方に埋蔵文化財保護の意識を高めてもらう目的で、毎年学校の夏休み期間に行っています。今回は、「調査技術研修−遺構の調査−」を併せて実施したため、いつにも増して活気のあるものとなりました。
研修会場の西木流C遺跡は、古代の会津郡役所跡と推定される郡山遺跡と近接し、調査区からは古代の流路跡が発見され、貴重な木製品や土器類が出土しています。研修は、その一画をお借りして、どこにどのような遺構があるのかを探る「遺構検出」と、遺構に堆積した土を層位的に掘り下げていく「掘り込み」を中心に行いました。
研修中は、毎日35度を超える真夏日でしたが、水分補給をして暑さに耐え、発掘調査の難しさと面白さを肌で感じてもらえたことが何よりの成果と言えます。
また、最終日は会津若松市内の郡山遺跡、会津大塚山古墳、一箕町文化センターの展示資料を見学し、地域に残る文化財の重みを感じ取っていただきました。今回の貴重な体験を授業に生かしていただければと思います。