まほろんQ&Aコーナー(弥生時代の詳細回答)

50 弥生時代の占いについて教えてください。

 骨卜(こつぼく)はいつからあるのでしょうか。日本では、縄文時代には確認されていませんので、弥生時代になって中国から伝わったものと思われます。また、弥生時代の卜骨(“ぼくこつ”:骨卜に使う獣の骨を卜骨と言います)は、関東地方から西日本には見られますが、東北地方では未だ発見されていません。ただ、北海道では見つかっています。このため、東北地方においては、骨卜があったかどうかは不明です。骨卜以外の何らかの占い方法があったとも思われますが、まだわかっていません。
 次に、これによって占ったものは何であったのかについてですが、これは、はっきりとわかっていません。魏志倭人伝の中では、何か重要なことや、行き来をする場合(船などによる航海と思われます)には、骨を灼(や)いて占うと書かれています。「重要なこと」には、稲の種まき時期、刈り入れ時期、他の村との戦争の開始時期などが考えられます。
 なお、弥生時代の卜骨は、占った後、人の手により壊されたり、他のゴミと一緒に捨てられていたりします。占いが終われば、占いに使った大変貴重な骨というよりは、ただの骨として扱っていたようです。
 この他、骨卜を行った人についても、よくわかっていません。シャーマンと呼ばれる人(精霊(せいれい)や霊魂(れいこん)に働きかけ、霊が乗り移った状態で超常現象を起こしたり、願い事をかなえたり、病気を治したりする際の呪術者)が行った可能性もありますし、村の長老が行った可能性もあります。いずれにせよ、普通の人ではなく、特殊な人であったと思われます。
 弥生時代以後、獣の骨を使った占いは、古墳時代や奈良・平安時代に引き継がれます。古墳時代になると、亀の甲羅(こうら)も使うようになり、現在でも日本各地の神社で行われています。現在に残る例は、次のようなものがあります。
1)群馬県富岡市貫前神社(ぬきさきじんじゃ)…鹿占神事(かうらしんじ)
・毎年12月8日、神社周辺の集落が、来年火災に合わないかどうかを占います。鹿の肩の骨に熱した錐(きり)を突き刺して占います。
2)東京都青梅市御嶽神社(おんたけじんじゃ)…太占祭神事(ふとまにさいしんじ)
・毎年1月3日、その年の農作物の作柄(さくがら)を占います。鹿の肩の骨に区画を作り、火であぶってできた「ひび」の長さを太占尺(ふとまにじゃく)という物差しで測り占います。
3)大嘗祭(だいじょうさい)の卜占(ぼくせん)
・天皇陛下が即位して最初に行われる収穫祭(大嘗祭“だいじょうさい”といいます) に納めるための米作りの国を選ぶため、亀卜(きぼく)で行います。現在の天皇の即位式でも行われています(平成元年1月頃)ので、調べてみてください。
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