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 体験学習  

ミ歯錐で穴を開け、小刀で穴を整えればとりあえずできあがりです。
 しかし、ひとつ問題が発生しました。予想されていたことですが、音を出せない子がいたのです。横笛は、学校で習うリコーダーのように息を吹き込めば音が出るというものではありません。穴の縁に向かって横から息をぶつけるように吹きます。最近市販されている道具は、マニュアルさえ読めばすぐに使いこなせるもの、お手軽なものが多いので、たまには使うのに慣れや練習が必要なもの、一見不便なものもいいのかなと思っています。


<土偶をつくる>

        土偶・土面作り
 1月18日(土)に開いたまほろん実技講座では、「土偶」と「土面」を作りました。土偶は、展示室では、スター選手的な存在ですが、何の姿なのか、何の目的で作られたのか、はっきりはわかっていません。土面はめったに出てこない珍しいものです。お祭の時にかぶったのではないかと考えられていますが、くわしいことは土偶同様わかっていません。同じ時代の土偶の顔に似ているものが多いようです。
 当日は、まほろんに保管されている土偶をまず見てもらい、それから作り始めました。本物そっくりに作る人もいれば、しっぽのついたユニークな土偶を作った人もいました。人形やお面は作った人に似ると聞いたことがあります。できあがった様々な土偶や土面に、参加してくれたみなさんの、豊かな個性を感じました。
       竹笛をつくりました
 平成11年、福島県玉川村の江平(えだいら)遺跡から指で押さえる穴が5つか6つと考えられる竹製の横笛が出土しました。
 今回は、みなさんに親しみやすい西洋音階が出るように、7つ穴の笛を作りました。ネズ
 シリーズ復元展示
元を試みました。
 復元では、最初に、獣脚鋳型にスズ箔を貼り付け、そこにシリコンを流し込む作業から始めました。(写真左下)
 何度も鋳型を観察し、図面上での復元を試みましたが、ポジとネガ、凸と凹の状態が、どうしてもうまく復元できなかったので、直接型をとることにしたのです。
 鋳型にシリコンを流した結果、できあがったシリコン模型には驚嘆しました。そこには、鋳型からでは伺い知れなかった重厚で荘厳な獅子の顔が見られました(写真上)。平安時代の工人たちが見たものを、1,200年の時を越えて、初めて目にした瞬間でした。
 これを製品とした獣脚付き容器は、どこに送られ、なにに使用されたのでしょうか?問題の興味はつきません。
 この睨んだ怖い顔を付けた容器については、次回、お話しをします。

鋳型からみた鉄製品の復元 その1

 “鋳型”・“鋳物”と聞いて、みなさんはなにを想像しますか?鋳物の製品といえば、お寺にある梵鐘や茶室で使用する茶釜、あるいは銅像をはじめとする各種の美術作品が、真っ先に思い浮かぶと思います。
 今から約1,200〜1,300年前(平安時代8〜9世紀頃)、福島県浜通り地方北部の相馬地域は、砂鉄を原料とする鉄づくりを盛んに行ったところでした。この中には、鋳物の工場もありました。今回からは、この平安時代の鋳物工場から確認された鋳型をもとにして、古代の鋳物製品を現代によみがえらせたプロジェクトを紹介することにします。
 確認された鋳型は、約20,000点ほどです。これらは粘土で作られ、乾燥後に鉄を流し込み、製品が作られました。製品は、脚(獣脚と呼びます)が付いた容器・半鐘(火の見櫓などにみられる小型の釣り鐘)・風鐸(塔などの軒の四隅に吊り下げる大きな風鈴)・三鈷杵(密教で使用する先端が三又に分かれた法具)などです。
 このうち、今回は獣脚付き容器と風鐸の復

  

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