秋のてんじ案内 |
出土した副葬品も、馬鈴(ばれい)や鞍金具(くらかなぐ)などの馬具をはじめ、鉄製の武器・武具、装身具など、実に多彩です。まほろんでは、現在、馬具の復元品を製作するための調査・研究を行っていますが、今回は、その内容の一部についてもあわせてご紹介します。
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ふくしまの重要文化財W |
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シリーズ復元展示 |
綿にてこれを拭いつつ、油を充分に焼切りて仕上げるのである。」と記載されています(『塗物術』岡山秀吉著 大正11年 大倉書店)。
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鉄製品の仕上げその2 前回、平安時代の鋳鉄製品(ちゅうてつせいひん)の表面処理についてお話し致しましたが、今回は、処理の最終工程である着色についてお話し致します。当時の方法がいかなるものであったのかは解明されていません。今回行った方法は、いずれも現在行われている鋳金での方法や、文献資料での記載を根拠に推測しました。実際に行った方法は、@漆を焼き付ける(漆焼き法) A油を焼き付ける(油焼き法) Bワラや炭などを燃やしてススを付け、蜜蝋(みつろう)などで磨いて仕上げる(仮称「炭焼き法」)の3つの方法です。 漆焼き法とは、赤く熱した鋳物製品の表面に生漆(きうるし)を塗る方法で、現在の鋳物師(いものし)さんでも、鉄釜や鉄鍋の仕上げに使われています。過去に遡ってみますと、古墳時代の鉄製甲に黒漆を塗っている例や、正倉院文書に記載されている焼き付け漆の記事、正倉院の刀装具の鉄に黒漆が塗られているものなどがあり、平安時代にまとめられた延喜式(えんぎしき)のなかにも、大刀(たち)や楯(たて)を焼塗漆で仕上げた記載あります。(『伝統的焼付漆技法の研究−文献に見る焼付漆及びその研究の歴史−』中里壽克 平成10年 保存科学第37号 東京国立文化財研究所) 次の油焼き法は、製品の表面に油を塗り、これを焼き切る方法です。これも、現在でも使用されている方法であり、大正時代の塗料を説明した文献には、「油焼きの法は(中略)、綿にて水油を幾回も塗り、別に新しき |
まほろん通信18号 1 2 3 4ページ